犯人ゲーム
『さて、記念すべき一発目の弾丸がマネキンを撃ち抜いたみたいだね。色は黄みたいだね♪』
ニヤニヤとチェシャ猫の視線が室内にたゆたう。
視線が向けられる度、陽一は不快感を感じずにはいられない。
『ここで優しい優しい僕からみんなにヒントをあげるよ♪よぉ~く聞いてね。【犯人はね女性】なんだよ♪』
犯人は女性?
「確かに七体のマネキンに胸の膨らみの有無はあるな」
肩越しにマネキンを見やる光二が大真面目に言った。
陽一はそれがなんとなく可笑しかった。
「なに笑ってんだよ」
「いや光二がこんな時にも胸を見てるのか~。と思うとさつい笑えて」
「バカたれ」
呆れたように笑いながら光二は再び猫を視界に映した。