犯人ゲーム
「修学旅行…行きたかった……なぁ」
ゴホゴホ、と吐血混じりの咳が静寂を孕む室内に響く。
「ば、バカ……な事したなぁ、俺」
「もういい。喋るな!!」
光二の顔には焦燥が浮かぶ。
「違う…よ。御…黒井。俺の……間違いはあの猫の誘い……に乗った所だ」
陽一は瞬間、時間が止まったのかと有り得ない錯覚に陥った。
「な、に?」
錯覚を取り払ったのは光二の怪訝を内在した一言だった。
「俺さ、みんな…より早く目が……覚めて、そしたらチェシャ猫が現れ…てさ。言ったんだ、俺に。最初に銃を撃て、それも黄色いマネキン…に。そしたら助けてくれる……って言われたんだ」
藍原の両目から涙がこぼれ落ちる。
それは後悔なのかそれとも謝罪の涙かは陽一にはわからない。