犯人ゲーム
「本当に、バカな事……した」
「わかった。わかったから、もう喋るな」
しかし藍原は首を横に振った。
「……無理だ御黒井。もう……俺は、助から……ない。……だから言わせてくれ」
藍原は、緩慢に集まったクラスメートを見渡し、そして言った。
「この中に…もう一人チェシャ猫と接触した……奴がいる」
藍原の言葉に皆一様に顔を合わせた。ざわめきは不安を伝播させる。
「お前、そいつの顔は」
「画面の逆光で…見えなかった」
「そうか」
吐血混じりの咳がまた出た。
「……み、くろい」
「なんだ」
藍原は最後の力を振り絞り上体を少し上げ光二の耳元で何かを呟いた。
「……わかった」
光二はそう呟いた。藍原はゆっくりと目を閉じた。彼のまぶたが開く事は二度となかった。
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