犯人ゲーム



「知ってぃる。よーいちは昔よくうちの子になる。って騒いでたじゃん」


望美の瞳が陽一に向けられる。薄暗がりの中でも映える黒目がちな双眸。


「だってお前んち、僕の家より三倍位デカいじゃん」


親父が必死の思いで現実に我が物としたマイホーム。


その隣に建つ三倍デカい望美の家。


幼心に経済力を知る羽目になった、今では懐かしい格差。


陽一の父は一般的なサラリーマン。望美の父は上場企業の社長。


本来ならば生きる舞台が違う奴なのだ。


けどなんの因果か、彼女は陽一の隣にいる。


「なにさ人の顔ジロジロ見ちゃって~」


「ん、悪い」


別に意識して見ていたつもりはなかった。


ただたまたま目が望美を向いていただけ。


陽一はそう思いながらも口にすることはなく視線を逸らすように頭上を見上げた。


そこには深淵が張り付くように暗闇が広がっていた。


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