犯人ゲーム
『フフフ♪みんな喜んでくれると僕も嬉しいよ。それじゃあ僕は帰るよーーうん?』
チェシャ猫が支配する画面に、人型の欠落が現れた。
人型の欠落はチェシャ猫を見上げる。
「お前に一つ聞きたい」
欠落が声を張る。聞き慣れたそれは光二の声だと陽一は理解した。
「藍原が言っていた。『誰かがチェシャ猫に接触した』と」
チェシャ猫の表情はニヤニヤ笑いのまま。けれど視線のような光は光二に落ちていた。
『藍原君?彼ってばそんな事言ってたの。やだねぇ』
「答えろチェシャ猫。誰と接触した」
『そんなの自分でみんなに聞けばいいじゃない♪ま。答えてくれるわけないけどね』
カラカラとチェシャ猫の作ったような笑い声が室内に響く。
全員の視線がチェシャ猫と光二の問答に集まっていた。