犯人ゲーム
『御黒井君、一回死んでみる?』
「……」
光二はゴクリと喉を鳴らす。
陽一は最悪の事態を予想せずにはいられなかった。
きっと、光二も意識しただろう。
自分の死を。
『でも、今の段階で御黒井君を殺すのはやっぱり惜しいんだよね♪』
「は?」
光二は気の抜けた声を上げた。
『君はまだ殺さないでいてあげるよ。君にはまだ泳いでもらうからね』
「……どういう、意味だ」
『そのままさ。君はこのゲームを面白くしてくれると思ってるんだ。期待してるんだよ♪』
「俺がてめぇのいうとおりに動くとでも思ってんのか」
『君は、動くよ』
どう頑張ってもね。
チェシャ猫のそれは予言のように聞こえた。
何をもってそう断言するのか見当もつかない。
ただ言えるのはチェシャ猫はまだ誰かの死を望んでいる。
そんな下劣な希望。