犯人ゲーム
『さて僕はそろそろ眠るとするよ。バイバイみんな。また十二時間後に来るからね』
画面のチェシャ猫は大きな欠伸を見せ、緩慢に丸まる。
『また、十二時間後。また会えるといいね』
喜悦を帯びた、醜悪な笑みを残しチェシャ猫の姿は、まるで霧散するようにゆっくりと画面から消えていった。
室内にはチェシャ猫の悪意の残滓と淡いオレンジのライトが薄闇にはびこる。
陽一はボフッと体をソファに預け、宙空に視線をさまよわせた。
最後に一波乱はあったがヒントが増えた事に変わりはない。
頭の中で自分の考えを構築する。
自分の推論を正論に昇華させるため。
光二と望美の推論を打破するため。