犯人ゲーム



目を瞑ってたせいもあって一際闇に慣れた両目にこの光はキツかった。


光は徐々に収束していき猫型の光源へと変わっていく。


言わずもがな、それはチェシャ猫だった。


不思議の国に出てくる気色の悪い猫。


原作に出てくるアリスも思った事だろう。


キモい猫だと。むしろ思わない方がどうかしてる。


『ヒントはね……』


チェシャ猫がゲームの参加者たる『自分』達に第二のヒントを与える。


その瞬間、チェシャ猫が『自分』を一瞥(いちべつ)したような気がした。


「別に、どうでもいい」


それは独白なのか、それともチェシャ猫に向けた言葉なのか。


判別は付くことなく言葉は薄闇に紛れて消えた。


チェシャ猫のヒントに、見た目だけでも静穏だった室内に微弱なざわめきが生まれた。


耳障りだった。


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