犯人ゲーム
「いるんだ。色は『ピンク』」
陽一はなんともなしにマネキンを振り返った。
朴訥(ぼくとつ)に虚空を漂う無機質な視線。
それが七対。
「『ピンク』はラテン語で『fuchsia』と言う」
陽一は再度光二に目を向けた。
光二の表情は自信に満ちていた。
「よく、そんなラテン語だとか知ってるな」
「一般常識だろ」
…一般常識、ねぇ。
陽一は何か胸にしこりのようなものを感じた。
けれどその異質な感覚は正体が掴めない。
「だが『黄』は藍原が違うと証明した。残るのは『ピンク』だけだ」
「消去法で言うなら『犯人』は『ピンク』だな」
「……」
光二の表情がまた暗くなる。
室内の薄闇のせいかとも思ったが、どうやら違うようだった。