犯人ゲーム
「『ピンク』ってさ、和訳すると……」
光二はその先の言葉を紡がない。
だがその先の言葉は考えるまでもなかった。
スッ、と。喉が渇いた状態で水を飲んだような素早く体に浸透する感じだった。
「『ピンク』の和訳は桃色。……これの意味、わかるよな」
「お前は、遥を疑ってるって事か?」
光二は答えなかった。
「だから遥を遠ざけたのか」
「……俺なりの配慮だ」
陽一は宙に目を向けた。
淡いオレンジのライトの光末が、漂う薄闇をより一層闇の部分を引き立てる。
「そんなの僕には暴論にしか聞こえない」
「俺もそう思う。いささか行き過ぎた考えだと思うよ。だからお前の意見が聞きたいんだ」
「言ったろ、僕はマネキンだと思うって」
あえて光二の意見を使うなら、『ピンク』のマネキン。
陽一はそう踏んでいた。