犯人ゲーム
「お前はそう言うと思ってたよ」
「僕の意見は不満か?」
「いいや。俺だって『犯人』はマネキンだと思いたい。俺の推論が間違ってればいい」
光二は画面を振り向いて「そっちの方がいい」。そう言った。
つられて陽一も画面を見る。
ぼんやりとオレンジの光が反射する画面。
それがなければ闇と溶けるように同化していただろう。
陽一はそこに不安を映し出す。
陽一だけじゃないだろう。
皆、一緒だ。映す所が違うだけ。
「陽一」
首は画面に向いたまま。
「死ぬなよ」
陽一は光二を見る。
陽一は何も返さない。光二もそれ以上なにも言わなかった。
先の見えない現実を映し出すような闇の中。
二人の声は溶けて消えた。
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