犯人ゲーム
刹那、ピチャリと生ぬるい何かが陽一の頬を濡らした。
硝煙を上げる遥の銃口、遥の背後の女子たちは口を覆う。
陽一が頬に触れるとべっとりと赤い液体が指先を染めていた。
誰かの叫びが耳をつんざく。
これは、なんだ。
停止した思考が懸命に答えを探す。
わかっているのに、知らないふりをして。
「う、撃ちやがった!!桃島が撃ちやがった!!」
ぐん、と。
先頭の男子の胸倉を掴んでいた左手が下へ引っ張られる。
撃たれたのはその男子だった。
額を撃ち抜かれバランスを失った男子は重力のままに倒れた。
床に広がっていく血はまるで命を流していくようだった。
「……遥」
陽一の視線は遥に向く。
フッフッ。と上手く息が吸えないのか呼吸が荒く、いまだに銃を向け続けている。