犯人ゲーム
「あ、あぁ…っっ!!」
遥の手から銃がこぼれ落ちる。
「遥」
声は届いたのか。それはわからない。
遥は空の両手で自分を抱くけれどその震えは止まる事は無く、焦点はまるで合っていない。
陽一は遥に駆け寄った。
「……陽、一。私、私、撃っちゃった」
陽一は遥を抱き寄せる。
小さな体だった。
柔らかかった。
いい匂いがした。
陽一は必死に遥の体を抱く。
絞め殺すみたいに、ギュッと。
「う、撃たなきゃ殺されぞ!!」
誰かがそう叫んだ。直後、銃声が轟いた。
陽一の視界の隅に、血の赤が舞った。
無意識の内に陽一は遥もろとも床に倒れ込む。
守るように、遥を下にして。
それから阿鼻叫喚を伴った刹那の銃弾が室内を地獄に染めていった。
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