犯人ゲーム
唐突に銃声が止んだ。
陽一は視線を床と水平に這わせてからゆっくりと顔を上げた。
硝煙の匂い。それに鉄の匂い。
そして、変わり果てたクラスメート達の姿が視界に飛び込む。
さっきまで互い口論しあった彼等は全員倒れ、その額からは血を流し床を朱に染めていた。
「……う゛ーーっ!?」
ビシャア。
陽一から離れた一人の男子が嘔吐した。
背を痙攣させ、現実感さえ吐き出すように嘔吐を繰り返す。
陽一も同じように強烈な吐き気を感じていた。
「……陽一、重い」
陽一は片手で口を押さえながら下に目を落とした。
「……痛いよ。陽一」
不満を訴えていたのは結果として陽一の下敷きになっていた遥だった。
けれど、遥の表情は訴えとは裏腹にどこか恥ずかしそうに見えた。