犯人ゲーム
5,偲、あるいは死
★ ★ ★
まるで獣の雄叫びのようだった。
幾多の銃声から、離れた一発の銃声。
それからすぐに慟哭が室内を切り裂いた。
皆の視線が雄叫びに集まる。
俺もつられるように視線を向けた。
「ん~。また誰か撃たれたみたいだねぇ」
軽い口調の彼女は、どうしてだか笑ってるように見えた。
「撃たれたのは遥だぞ」
「……知ってるよぉ」
「ならなんでそんなに淡々としてるんだ?」
普通なら、雄叫びを上げる陽一のように死を全身で弔み偲ぶだろう。
「不思議な事、言うねぇ」
「不思議な事?」
俺は首を傾げずにはいられない。
「不思議な事でしょ。悲しんでないのは私だけじゃないのにねぇ」
「……俺だって悲しいさ」
瞬間、彼女はより一層の笑みを浮かべて見せた。