犯人ゲーム
「ねぇ、目を逸らしちゃダメだよぉ」
あっけらかんと彼女は言う。
「……何の話だ」
「何の話だろうね」
彼女はぼんやりと呟いて、目を瞑った。
また眠るのだろう。
「ねぇ」
「うん?」
「遥は親友だったかい?」
…親友。
思考は停止して、言葉の意味を咀嚼(そしゃく)した。
俺にそんな事を聞くのか、お前は。
答えなんか決まってる、口に出すまでもない。
「私にとって、言わずもがな遥は親友だったよ。よーいちやこうじもそうだけどさ」
「……」
「そんな親友のさ、命を踏み台にして私はね。生きたくないよ」
そう言って彼女は小さな寝息をたて始めた。
……言いたいことだけ言って、あとはすぐ寝やがって。
俺はイライラしく後頭部を掻いた。
……俺も、寝よ。チェシャ猫が現れるまで。
体力と気力を温存しよう。
あのクソ猫の好きなようにはさせない為に。
俺が、潰してやるんだ。
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