犯人ゲーム
『ハロー♪
殺ってるねぇ、もう10人もいないみたいだよ』
なんの脈絡もなく、そんな機械じみた声が室内を覆った。ともに部屋の薄闇が駆逐される。
チェシャ猫が現れたのだ。
陽一は、まるで光に誘われる蛾のように自然と視線をそちらに向けた。
『ん~、とね。今現在で、9人かぁ』
チェシャ猫の視線が周囲を舐め回す。
ふと、陽一はチェシャ猫と目があった。
背筋に冷たいものが走る。たかが機械の、作りものの、画像の視線なはずなのに。
唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
『君は、ペナルティだね♪』
それから、間髪入れず。何回聞いただろう、この乾いた、空気を破裂させる、死の音を。
『吉井さん。ペナルティで、処刑だねぇ♪』