犯人ゲーム
悲鳴を上げる暇もなかったのだろう。
頭部を撃ち抜かれた吉井だった肉塊は力無く、そのまま仰向けて血の海に沈んだ。
『はい♪吉井さん死亡ぅ~♪これであと8人……うん?違うね、光二君に撃たれた子も死んだみたいだね。つまり7人だね』
簡単な、命の引き算を口にして、けれどチェシャ猫はニタニタと笑い続ける。
「陽一。動くな。撃つぞ」
声は光二からだった。
目だけ光二に向ける。視線が交差した。
「今、チェシャ猫に突進しようとしてた」
「……」
「落ち着け。カッとなるな」
「『カッとなるな』なんて言う方が無理に決まってるだろ」
「わかってる。けど、落ち着け。今は早まるな」
「……クラスメートを殺した人間ってのは落ち着いてるのかよ?」