犯人ゲーム
その直後、足が熱くなる。灼けるように。
撃たれた。光二に、太ももを撃ち抜かれた。
「……うぎ…ぃぐ…。お、お前」
痛みが思考を遮る。
光二は倒れる陽一を、やはり顔色を変えずにぼんやりと見下ろす。
構えた銃からは硝煙が昇っていた。
「動くな。そう言ったよな?」
「……バカ、野郎。僕は、は、犯人じゃないんだぞ…?光二、死ぬぞ」
陽一はうっすらながら数少ないルールを思い出す。
『犯人以外を撃てば、死ぬのは自分』だと。
「……バカはお前だ、陽一。なんでさっき吉井が殺されたか考えろ」
光二は銃を思いっきりチェシャ猫に向かって投げつけた。
ガシャンと音を立て、銃は見事にチェシャ猫の顔面に命中した。
チェシャ猫はそれでも歪んだ嘲笑を絶やすことはない。