甘い甘いキスをお姫様に
あたしの親は大きなジュエリー会社で働いている。
パパはその会社の社長―――
ママはパパの秘書―――
だから、家に2人ともいる事なんて、滅多になかった。
暗い夜、夕食を出しにだけに来る女将さん以外…誰もいなかった。
最初は寂しい寂しい…ってずっと泣いてた。
でも、成長していくうちに、そんな感情を抑えるようになってきた。
あたしの誕生日―――。
もしかしたら、帰ってきてくれるかもしれない!と期待して夜、大きな玄関の前でずっと。ずっと待ってた。
でもやっぱり…帰ってくることはなかった。
幼いあたしは、親が憎くて…大好きだったんだ。
本当に信じていた―――。
『お帰りなさい。』
そう言える日を―――。