甘い甘いキスをお姫様に
その時!!!
フワッ
甘い香りと共に、人に押されていた感覚がなくなった。
『…え?』
あたしは驚いて、後ろを振り返った。
そこにいたのはあたしと同じ高校の制服を着た男の人。
背はあたしよりもずっと高くて、髪は短くて全体的にサッパリしていた。
「大丈夫?ちょっと待ってな!」
その男の人はニコッと笑い電車のドアに両手を付けた。
その両手の間にあたしはいる。
ちょ…うわ…。
近いよぉー!!
あたしは焦ってオドオドした。
「ん…」
男の人は両手に力を入れた。
周りの人から、あたしを守ってくれた―――。
あたしが、その人の方を見ると、その人は後ろのさっきのおじさんを睨んでいた。
おじさんは、ビクッとして人混みの中に消えていった。
男の人はそれを見るとこっちを振り返った。
『あ…』
目がばっちり合った。
「もう大丈夫!」
その人はニコッと笑った。
うわぁ…カッコいいなぁ
なんて、思ってるといきなり電車が揺れた。