【完】君の笑顔
「外出許可貰えませんか?」
岡本さんは少し間をおいた後、清水先生を下から見上げながら言った。
「フッ………」
聞いた瞬間、笑いだした清水先生。
僕も思わず頬がゆるんだ。
清水先生が笑った理由は分かる。
……岡本さんがわざわざ外出許可を頼んだから。
いつもなら黙って勝手に病院を飛び出して行くのに。
黙って行こうとしない事はすごく良いことだけど。
今の岡本さんの状況からしたら……黙って抜け出されるのはまずい。
フフ、と笑っている清水先生を首を傾げながら見ている岡本さんは、何故清水先生が笑っているのか分かっていないらしい。
「どうしたの?珍しい。
いつも許可を貰わずに出てるのに」
清水先生が教えてあげて、初めて僕達が笑った理由に気付いた岡本さん。
あ、と僅かに口が開いた。
「今回はしっかり許可を貰って外出しようと思ったんです」
「何処か行きたい場所があるのかな」
清水先生が聞く。
岡本さんはゆっくりと頷いた。