【完】君の笑顔
出会い
それから二年程経って、
僕も経験を積んでいった。
その時に彼女がまた運ばれてきたんだ。
高校を卒業した岡本さんが。
「岡本さん、病院ですよ!
分かりますか!?」
看護師が苦しそうに横たわる彼女に呼び掛ける。
「っ……大…丈夫だからっ!」
いつものように苦しそうに顔を歪め、
片手で胸の辺りの服を握り締めながらも途切れ途切れに訴える。
大丈夫?
この状況で?
そんな苦しそうにしているのに。
発作は僕と清水先生の素早い処置によって直ぐに落ち着いた。
表情が穏やかになった岡本さんを、処置室からベットに移す。
「高橋君」
名前を呼ばれて清水先生を見ると、清水先生も僕をニッコリ笑いながら見る。
「今回から高橋君が岡本さんの担当。任せたよ?」
「……はい!」
「大変だよ。
多分抜け出すだろうから……頑張って探してね」
笑いながら言う清水先生に、僕は苦笑いを返した。