【完】君の笑顔
意識が戻り、良くなったがしばらく入院をする事になった岡本さん。
回診で、僕は清水先生と岡本さんの元へ会いに行く。
今まで見かけるだけだったけれど……初めて話す事になる。
僕は前から知ってるけど、きっと岡本さんは知らないはず。
「誰?」
部屋に入って清水先生が岡本さんに体調を聞いた後、
彼女はすぐに後ろで黙っている僕を見て清水先生に聞いてきた。
笑顔ではなく、むしろ不機嫌な顔で。
「今回から高橋先生も心ちゃんの担当になったから」
清水先生に穏やかに紹介されて、僕は頭を下げる。
「高橋です。
よろしくね、心ちゃん」
なんて呼んだら良いのか分からなくて。
とりあえず、仲良く出来れば。
心を開いてくれたら。
そんな思いも込めて。
岡本さんは真っ直ぐに俺を見つめる。
そして
「キモいんだけど。
心ちゃんとかいきなり呼んで。馴れ馴れしい」
僕から視線を逸らして冷たく呟くように僕に言い放った。