【完】君の笑顔
「俺さ、高校ん時とか良く抜け出してたの。生徒指導の先生の目、掻い潜って」
あー……やってそうな気が。
面影が思いっきり残ってる。
「で、先生も見張りを強化するじゃん?でもどうしても予定があって抜け出したい時……どうすると思う?」
はい、高橋君!とふざけて僕に拳をマイク代わりにして質問する聖。
ちょっと真面目に説明して貰いたいんだけど。
聖が真面目な理由で僕に病院に行けと行っているなら直ぐにでも行かなきゃいけないんだから。
「……さぁ?」
「だよねー。秋君真面目そうだし、抜け出したってエピソード無いでしょ」
……ある。
あるけど、今そこで言ったら、聖は絶対に食い付いてきて話題が変わってしまうから言わない。
「良いから。で、聖はどうしたんだよ」
「その抜け出したい日まで大人しくしとくんだ。更生しましたーとか言って。で、先生が油断した所をバーっと抜け出す。これ、何回かしか使えないけど」
あぁ。
聖が言いたい事は分かった。
「つまり、その方法を使って岡本さんも抜け出すと聖は思ってるって事?」