【完】君の笑顔
岡本さんが聖と同じ思考だったらその方法で抜け出すかも。
「まぁな。俺、若いからさ。若い子の考えてる事分かんだよ」
「……歳は同じだよね」
「中も見た目もまだまだ若く見えるって」
……調子に乗る聖を無視して、僕はベッドから下りて出かける準備をする。
「これでもし岡本さんが大人しく病院に居たら絶対怒られる」
何で休みなのに病院に来てるの?
そんなに信用出来なかった?って。
「そしたらさ、コンタクト姿見せに来たんですよーって言えよ。口実になるじゃん」
聖は自分の瞳を指差して得意気に言う。
勤務中は眼鏡だけど、慣らしていかないとって事で休みの日はコンタクトを付けてる。
そう言えば、岡本さんも眼鏡よりコンタクトの方が良いって言ってた。
それより……短時間でパッと口実を思い付くなんて。
ある意味スゴいよね。
「……病院に行って来る。聖、家空ける時ちゃんと鍵かけてね」
「おー。多分空ける事無いけど」
じゃあねーと手をひらひら振る聖を一瞥してから、家を後にした。