【完】君の笑顔
病院には車で向かえばすぐに着く。
岡本さんが聖の言う通り、本当に抜け出しているのか。
ちゃんと大人しくしているのか。
予想がつかない。
病院に入るとそのまま岡本さんの病室へと向かう。
私服姿でも、気付いた患者さんが僕に挨拶してくれる。
そっと、ドアの所から覗いてみる。
聖に口実のアドバイスは貰ったけれど、バレなければ様子だけ確認して帰れば良い。
覗くと、岡本さんのベッドは、カーテンで遮られていた。
……まだ午前中だし、寝てる?
着替え中とか?
でも、嫌な予感がした。
そのまま近寄っていき目を凝らす。
普通なら、見えるはずの影、姿が無い。
バッとカーテンを引くと、レールを勢い良く滑る音がして
ベッドはもぬけの殻だった。
抜け出した……?
いや、トイレかもしれない。
徐々に焦ってくる気持ちを必死に冷静さで保って考える。
「……あれ?高橋先生?」