【完】君の笑顔





すると、ふっと抵抗が無くなり僕も自然に力を緩めた。



岡本さんは、力は緩めたものの、立ち止まったままで動こうとはしない。




通路のど真ん中。




立ち止まって動こうとしない岡本さんを一瞥しながら、他の客は通っていく。



明らかに邪魔だ、と言った表情をしながら。




岡本さんは俯いているから気付いていないけれど。




「ここ、道の真ん中だから端に行こう?」




とりあえず、端の邪魔にならない場所まで連れていこうと軽く腕を引く。




「痛い」




ポツリと俯いていた岡本さんが顔を上げて僕を睨みながら言う。




見てみると、掴んでいる部分が黄色っぽい後が出来ていた。




そこまで強くしたつもりは無かったけれど



あまりに抵抗するから無意識のうちに強く握ってしまっていたみたい。





「あ、ごめん」





手は離さず、力をできるだけ緩めた。









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