【完】君の笑顔
確かに、岡本さんは私服だけど僕は白衣を着ておもいっきり医者の姿。
通りかかった人も、僕の格好を見て岡本さんは患者だろうと思うはずだし。
「帰りましょう」と大きな声で僕が岡本さんに言えば、岡本さんが抜け出した事も分かるんじゃないかな。
「何で付いてくんの!?
ウザイ!来ないでよっ!」
声を荒げる岡本さん。
付いていかないと何処に行ったか分からなくなったら大変でしょう?
「何処に行くつもりですか?」
「いいじゃん、何処に行こうが」
再び歩きだす岡本さんの隣に僕も並ぶ。
まるで、家出娘だ。
……でも、思っている事を素直にぶつけてくれるようになった。
その進歩が嬉しい。
「何処に行くの?」と、
聞いても無視されていたのに。
「ウザイ、何処でも良いでしょ?」
答えてくれるようになった。
それだけで、
少し嬉しくて頬が緩む。
それに気付いた岡本さんに、
「何ニヤニヤしてんの?キモっ!」
なんて、言われても。