【完】君の笑顔
熱々の缶ジュース二本を、長袖の白衣の上から持って中庭へと向かう。
ベンチとの距離が近づくにつれ、見えてくる。
さっき窓からは確認出来たはずなのに最初は姿が見えなくて、いない?って思ったけれど……
やっぱり居た。
ベンチに寝転んでいる岡本さん。
倒れているのかと一瞬ドキっとしたけれど、穏やかな表情を見て違うと安心する。
寝てる……?
寝るなら部屋に戻って寝れば良いのに。
風邪引いたら大変だ……。
「……また抜け出して」
寝るなら部屋から景色見てたら良いでしょ。わざわざ外に出なくても。
そんな意味を込めて岡本さんへと話し掛けると、ゆっくりと閉じていた瞳が開かれる。
長い間目を瞑っていたのか、くっきりと後が付いた二重に、少しトロンとしていた目。
その目が僅かに動いて僕の顔を捉えた。
僕は上から反対の岡本さんの顔を眺める状態。