【完】君の笑顔
言葉に甘えて、箸をゆっくりと動かしながら2人を見る。
「何ですか?」
話を聞こうとすれば、一気にあさみちゃんが僕の方へ顔を近付けてきて、焦る。
反射的に下げてしまった顔。
「高橋先生って、心の事どう思ってます?」
……え?
そんな真剣な顔で、僕はてっきり岡本さんの病状とかの質問かと思っていたのに。
少し外れて力が抜ける。
「どうって……もうすぐ抜糸を行って、退院予定で喜ばしいなーと」
岡本さんにとっても、ずっと治してあげたいと思っていた僕にとっても。
真剣な表情で僕の答えを待っていたあさみちゃんは、僕の答えを聞いてハァ…と溜息を吐く。
え?……何で溜息。
フフフと清水先生は、笑いながらコップに口付ける。
「そうじゃなくて!
……心の事、好きですか?って意味です」
「恋愛で」
あさみちゃんの少し苛立ったような声に、落ち着いている椿ちゃんが付け加える。
……ちょっと待って。
どうしてこんな質問をわざわざ僕に?