【完】君の笑顔





きっと、これからもずっと忘れないと思う。



「出来てしまえば立ち直って元気になってくれるかもって少し期待してたけど……手術するくらいなら死んだ方が良かった、って言われたんだ」



胸が苦しい。



目を瞑り、拳を作って静かに息を吐き出した。



「……秋。お前さ……」



少し間が開き、静かだった室内に聖の声が響く。




その言葉に目を開けば真っ直ぐこっちを見ていた聖は普段のおちゃらけも無く真剣だった。



珍しい。



こっちも真面目に話を聞かないと……と、背中を預けていた壁から離す。




「その子、傷が出来たら彼氏が出来ない……とか、遊べないって理由で傷が嫌だって言ってたんだよな」


「うん。そんなの気にしない人だっているよって言ってるんだけどね」



僕の言葉は信じてくれないみたい。



実際に結婚して子供生んで幸せそうに暮らしている人だって知ってるのに。



「じゃあさ……秋がその気にしない彼氏になってあげればいいじゃん」


「………はぁ?」



この雰囲気で何を言いだすんだ。


聖はお菓子を食べるのを再開させてニコニコ笑う。








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