【完】君の笑顔
「でも良かったです。高橋先生が乗ってくれて。こちらへどうぞ」
早くバイト時間が終わらないだろうか、何時上がりなんだろ……。
時計を見ていれば整理が終わったあさみちゃんがくるっと振り返って歩きだした。
それに黙って付いていくと、ある一角で立ち止まって僕を見た。
「高橋先生と遊びに行く時の心の服を見てあげて欲しいんです」
ハンガーにかかった何着かの服を僕に見えやすい位置に置いていく。
「僕が?」
「はい。高橋先生の好みで。男の人とあたし達のセンスは違いますから。
ニットワンピが良いと思うんですけど……デザインも沢山あるので」
そう言われて、僕は一着一着ハンガーをずらしながら見ていく。
タートルネックタイプの物や、若干胸元が開いているタイプ、デザインも少しずつ違う。
僕の好みで選んで良いのだろうか。
……岡本さんは『もう胸元の開いた服は着れない』と言っていた。
着れるよ。
それを教えたくて、敢えてシンプルな白の少し胸元の開いたニットワンピースを選ぶ。