【完】君の笑顔
「この服でどれくらい胸元が開いてるか分かりますか?」
選んだワンピースを見せて、後ろで僕が選ぶのを待っていたあさみちゃんに聞く。
「あ、えっと。これと色違いなんで……この位ですね」
近くのマネキンを指差す。
そのマネキンと岡本さんの傷の位置を頭の中で重ね合わせる。
……多分大丈夫。
この位の開きでは見えないはず。
「大丈夫ですか?その……傷が見えたりとか」
「大丈夫だと思うよ。見えないと思う」
心配そうにマネキンを見つめたあさみちゃんに微笑む。
「後ですね、心、この前来てくれた時『黒の服』が欲しいって言ってたんですけど、白で良いですか?」
一応、確認で聞いたのだろうけど、岡本さんは黒の方が良いの……?
……でも。
「白で。黒より白の方が似合うと思うから」
きっと。
「じゃ、これで良いですか?」
ホッとした笑みを溢して僕が選んだ服を見せたので頷く。
きっと似合うと思う。
頷けば、それを持ってレジまで行こうと歩きだすあさみちゃん。
ふと頭を過った疑問。
「あ、待って」
声を出して呼び止めれば、踵を返して戻ってきた。
「どうかしました?」
「これってさ……もしかしてこれ一着で着るの?」
ん?と一瞬首を傾げて服を見てから、また顔を上げるあさみちゃん。
「そうですよ?」