【完】君の笑顔
誕生日デート
「はぁ……」
今日何度目かの溜息。
仲直りを目的としたデートの日。
岡本さんの消毒が終わってそれから用意するまでここ、駐車場で僕は待機。
[今日は絶対に家に来ないで。]
さっき聖に送ったメール。
別に来られたら困る事は無いけれど、聖は煩いし。
ヘラヘラと無関心に喋られても困るし。
すぐに携帯が震えて聖からの返事が来た事を知らせる。
[何で!?仕事帰りに行こうと思ってたのにー……]
……何で僕の家に来たがるんだよ。
今日も寄るつもりだったんだ。
メールしといて良かった。
[何ででも。とにかく来ないでね]
理由なんか、いちいち教えないし。
……服屋であさみちゃんに岡本さんを僕の家に泊めさせると言う計画を聞いてから
さすがにそれはまずい、ちゃんと夜には家に送ろうと思っていた。
でも一昨日……
病院に岡本さんのお母さんから電話がかかってきて。
手術の後に涙を流していた姿が頭に残ってて、少し心配していたら
『心の誕生日の日、夫と一泊二日で温泉旅行に行ってきます』
と言った報告の電話だった。
一泊外泊の事を知らないのかと焦ってどう説明しようかと内心ドキドキしていた時。
『高橋先生、憎まれ口ばかり叩きますが心の事お願いしますね?
無いでしょうけど、もし何かあったら携帯の方に連絡をお願いします。
まぁ、高橋の家に泊まるらしいですし、先生と一緒なら心は大丈夫でしょうけどー』
すごく明るい声で一方的に話された。