【完】君の笑顔
あさみちゃんは少し大きめの紙袋を岡本さんに押し付ける。
「ありがと……」
困った顔をしながらも受け取る岡本さん。
「今日は高橋先生と素敵な誕生日を過ごしてね!詳しい事は高橋先生に聞いて」
「じゃ!」
バタン、と閉められたドア。
2人は踵を返して帰っていく。
……僕達も行くか。
2人を見ている岡本さんをチラっと見てから、車を発進させた。
……しばらく経った頃。
ずっと窓の外を見ていた岡本さんが、こっちを向いたのに気付いて岡本さんを見る。
「ん?」
視線が合った瞬間、ビクッと反応する。
……そんなに驚かなくても。
何か言いたそうで、でも躊躇してグッと口を閉じたのを見て、
僕は話しやすいように、とすぐに前を向いた。
話しだしてくれるのを待って、少し間が空いた後。
岡本さんはやっと話しだした。
「……意味が分かんないんですけど。なんであたしが高橋先生の車に乗ってるんですか。
あたしは、あさみと椿と遊ぶために今日外泊許可貰って……」