【完】君の笑顔
すごい音を立てながら、今度は取り出された箱を上下に振る岡本さんが、視界の端に見える。
その音に、聞き覚えがあった。
そして箱に入っている事から、連想する。
「パズル?」
あの音は、バラバラになっているピースの音だよね。
「そ。頼んでたやつ」
岡本さんを見ると、今度は箱を裏返して包装を解き始めていた。
「え、ここで開けるの?」
「まだどんな絵か分かんないし、絵の確認するだけ」
包装を剥がしていくこれまた大きい音に、それに負けない岡本さんの声。
「わ……」
箱の見本の絵を見て嬉しさと驚きが交じった声を出す。
「難しそう……」
箱の絵よりも、先に僕の目に入ってきたのは大きくかかれた1000ピースの文字。
同じような色彩だし、ピースは多いし、時間がかかりそう……。
「……頑張れば出来るでしょ」
パズルの箱を紙袋へとしまう岡本さん。
それを見て、僕もようやく着いた目的地に車を停めた。
「さ、着きましたよ。降りて下さい」
「え?」
先に運転席から外に出ると、岡本さんも降りてドアを閉める。
……さ。デートだ。