【完】君の笑顔
岡本さんは、痛くても痛いって言わないだろうから僕が早く気付いてあげないといけないな。
「……あたしが転んだら、道連れになるね」
足元を注意しながら歩いている岡本さんが、笑い混じりに言う。
……道連れって。
「ちゃんと支える」
一緒に転んだりしないよ。
岡本さん一人くらい、余裕で支えられるから。
建物内に入れば、それまでここがどこか分かっていなかった岡本さんもようやく分かったらしい。
「プラネタリウム?」
「そうだよ」
どこに連れていけば良いのか分からなくて。
まだ完全に治っていない岡本さんを連れまわす事になるから、出来ればあまり動かない所が良い。
そうなると映画館かな……とも思ったけれど
でも映画の前に、プラネタリウムで、落ち着けてゆっくり出来たらなって。
岡本さんは星が好きだし、この前その大好きな星の写真を見に行った時は、あまり良い思い出にならなかったから。
今日は、良い思い出になるように。