【完】君の笑顔
「……何が良い?」
色々な店が出店していて、自分で食べたい店から買ってこれるけど……。
岡本さんは辺りを見渡して何を食べようか悩んでる。
久しぶりの外食だもんね。
食べたい、と思う物が有り過ぎるんだろう。
……そうだ。
「あ、夜はステーキだから。それ考えて決めてね」
「ステーキ!?」
「お祝いだし」
嬉しかったのか、ふふ、とニヤけた岡本さん。
「やっと笑った」
思わず声に出した僕に、岡本さんは眉を寄せる。
「あたし、そんなにブスってしてた?」
ブスっとしてた……と言うか無表情で。
寂しそうにどこか一点を見つめてて。
顔から感情や言いたそうな事を読み取る事が難しかった。
「久しぶりに見た。僕の前で笑ってくれたの、久しぶり」
あさみちゃんや椿ちゃんと話していた時に笑ってたかもしれないけれど
こうやって真正面で僕に向かって笑ってくれたのは、本当に久しぶり。
まさか、“夕食がステーキ”ってだけで笑顔になってくれるとは思ってなかったけど。
「やっぱ食べ物ですねー。岡本さんを笑顔にするのは」