【完】君の笑顔
≪6≫
家
「満足?」
夕食の材料と、誕生日のケーキを買ってから、車に乗り込んだ。
車を運転しながら、隣で息つく岡本さんに聞く。
「すっごい満足」
……良かった。
少しは元気になってくれた…よね。
「ね、高橋」
しばらく経った頃。
岡本さんが話し掛けてきた。
「ん?」
「あたしの家の場所、知ってるの?」
ちょっと気になったらしい。
岡本さんの詳しい住所なんて覚えてないし。
「……知らない」
この問題があった。
岡本さんは、泊まりの事も知らないんだった。
「じゃあどこに向かって走ってんの」
「僕の家」
「何で高橋の家に行かなきゃいけないのよ!
あたしの!家に帰るんだから!道教えるから!」
焦りの混じった岡本さんの声。
「ちょ、危ない!離して」
横から伸びてきた岡本さんの手が腕を掴んで揺さ振る。
危ないって。
運転してるから!