【完】君の笑顔
「美味しかったー!」
満足そうに箸を置いた岡本さん。
「本当。普通に美味しかったです」
「何。不味いって思ってたの?」
ふ、と目付きが鋭くなる。
「ちょっと心配してただけです」
料理出来るってイメージが無かったから。
大丈夫かなって。
それが予想以上に作ってくれて、味もすごく美味しくて驚いた。
意外と家庭的なんだ、って思って。
「さ、ケーキケーキ」
僕の分まで食器を持ってキッチンへと歩いていく岡本さんの背中に声をかける。
「……もうケーキ食べるの?」
今夕食を食べたばかりなのに。
「食べるけど……」
ガチャガチャ食器を置く音と共に聞こえてくる。
「今ステーキ食べたばっかりなのに?」
「普通食後のデザートでしょ」
食後と言っても……もう少し後で食べた方が良いでしょ。