【完】君の笑顔
風呂から上がった僕を見て、パズルを進めていた岡本さんは無言でそのパズルを避け始めた。
……ケーキが食べたいんだ。
冷蔵庫にケーキを取りに行って目に入った流し。
さっき夕食で使ったお皿が、もう綺麗に乾燥機の中へと入れられていた。
あの短時間で……。
せっかく温もったのに水を使って、冷えてしまったんじゃない?
「はい、どうぞ!」
「……高橋は?」
自分の前に置かれたケーキを見て笑みを溢した後、僕の前を見て首を傾げる。
「僕は夕食でいっぱいなので。
それに買ってないし」
フォークを渡しながら答える。
甘いもの、元々あんまり好きじゃないから。
僕の事を気にしつつもケーキを口へと運ぶ岡本さん。
「美味しーい!幸せ」
「幸せですか?」
「うん。何年ぶりだろ……ケーキなんて」