【完】君の笑顔
「ね……コレ何?」
中身を指差して不審がってる。
何って。
綺麗な薄黄緑色をしてるし、匂いで聞かなくても分かるはずなのに。
「日本茶ですけど……?それが?」
岡本さんに淹れたのは日本茶。
「紅茶、無いの?」
「ありますけど」
「普通、ケーキといえば飲み物は紅茶でしょ」
自分の考えを言ってケーキを口へと運んでいく。
「何で?」
「何でって……洋風のケーキには洋風のお茶でしょ」
洋風と洋風って……。
「甘い物と一緒に、甘い物を飲むの? ケーキには日本茶でしょ」
和菓子だって甘い和菓子には渋いお茶が丁度良いんだから。
甘い物には日本茶でしょ。
「それに」
納得いかない表情で日本茶を見つめる岡本さんに続ける。
「甘い物、ケーキだけで我慢して欲しいので。
紅茶を出すことは出来ないです。ごめんね?」
ケーキだけでかなりの糖分を摂取してしまったから。
飲み物はちょっと我慢して貰わないと。