【完】君の笑顔
本当はね。
あさみちゃんや、椿ちゃん。
聖に言われてやっと気付いたこの想いは、言わないつもりだった。
だけど、岡本さんが自分を責めようとするなら……。
「だから……岡本さんが好きだから、死なせたくないって思ったんです」
好きだから。
ずっと笑顔で居てほしいと思ったから。
「えっっ!!」
驚きの大声と共に、僕の肩に置いていた頭を上げる岡本さん。
抱き締めていた腕を緩めて体を離し、距離を少し取る。
そして、真っ直ぐ岡本さんを見る。
「……好きです」
好きだから。
きっと、研修医の時から。
岡本さんを見かけた時から。
……って…。
「何で泣くんですか」
ポロポロと涙を流す岡本さん。
号泣じゃん。
手術した後でも、そんなに泣かなかったのに。
シャツの袖を伸ばして、肌を傷付けないように涙を拭う。
拭っても拭っても流れてくる涙。