【完】君の笑顔
「高橋先生、寂しいですか?岡本さんが居なくなって」
部屋の前で立ち止まっていると、通りかかった看護師がクスクス笑いながら話かけて来た。
いつも一緒に岡本さんの消毒に行っていた看護師。
「いえ……」
「背中が寂しそうでしたよ」
否定すれば、また笑われる。
つい部屋の前を通りかかったら、覗いてしまうんだよね。
癖で、岡本さんが居るような気がして。
「……寂しくなんかないですよ。むしろ嬉しいです」
看護師を見て言う。
「そうですか」
ニコっと笑ってまた歩いていく看護師。
寂しくなんか、ない。
嬉しい。
これから、岡本さんは楽しい未来が待ってると思うと。
僕は
岡本さんのあの笑顔を
病気から守る事ができたのだから
―君の笑顔―
先生との恋・高橋Side
【END】