【完】君の笑顔
「それをどうにかできれば岡本さんは手術を受けてくれると思うのですが……どうすればいいですかね?」
「傷かぁ……」
机の上を持っているボールペンでトントン叩きながら考え込む清水先生。
一刻でも早く、岡本さんを治したいと思う僕は、清水先生の返答を早く……と願う。
さっき理由を教えて貰ったばかりなのに、直ぐにどうこう……ましてや手術なんて出来ないとは思うけれど。
何故か焦ってしまう。
そんな事を思っているのが分かっているのか、清水先生は穏やかに笑い僕を見て口を開いた。
「高橋君が頑張らないと」
「……へ?」
僕?
「心ちゃんが僕じゃなくて高橋君に理由を話してくれたって事は、きっと高橋君にどうにかして欲しいと思ったからだろう?」
僕は、返答せずに清水先生の目を見つめる。
「それなら、高橋君が考えて動かないと」
「僕が、ですか?」
清水先生はゆっくりと頷く。
「心ちゃんの担当は苦労するからねぇ。頑張って。担当医さん」
それだけ僕に言うと、会話が終わったかのようにクルリと椅子を戻して机の書類に目を戻す清水先生。