【完】君の笑顔
それが…怒ってる原因?
「心はまだまだお子ちゃまですから。先生は気にしないで下さいね」
「分かりやすいから良いけどね」
本当に意味が分からないけど……。
何気なく入り口の方へと振り返ってみたけれど、岡本さんが帰ってくる気配はない。
本当にジュースを買いに行っただけ?
まさかこの隙に抜け出してないよね……?
顔を前に戻すと、相変わらず笑い合いながら会話を繰り広げている2人。
今のうちに岡本さんについて聞いてみようか……?
「あの」
2人の会話が途切れたのを狙って口を開く。
声を出せば2人は直ぐに僕の方を見る。
「岡本さん、手術の事について……何か言ってなかったかな?」
僕が説得するよりも、友達の説得の方が良いかもしれない。
「……心、手術や入院を嫌がりますからねー……」
「嫌がる理由とか聞いてる?」
僕には傷が嫌って言っていたけれど、他にもあるかもしれない。
だけどあさみちゃんは、首を左右に振る。
「あたしは中学の時からずっと一緒ですけど、心の病気の事についてはあまり話題にしないようにしてるので……」