【完】君の笑顔
俯いていた顔を上げ、質問する彼女。
僕はにっこり笑って答える。
「手術をすれば、治りますよ」
すれば。
それを受けないと言う岡本さんに、困っているけれど。
「高橋先生が治してくれるから大丈夫でしょ。心も気に入ってるみたいだし」
あさみちゃんの明るい発言。
前の方はいいとして……。
「……気に入られてないですよ。むしろ嫌われて……」
冷たくあしらわれる毎日。
たまに笑顔を向けてくれて、話しかけてくれるけど。
担当医だって認められてないし、うざいって思われてるし。
苦笑いをしながら言う僕にあさみちゃんは笑顔を向ける。
「心、病院抜け出してあたし達と会ってた時、高橋先生からの連絡を待ってました。携帯ちょくちょく確認して高橋先生からの連絡気にしてました」
「え」
「だから、頑張ってください。すっごい問題児ですけど」
頭を下げたあさみちゃんに、思わず僕も軽く頭を下げる。
その時。
電子音がして、僕はすぐに白衣のポケットの入れていたPHSを確認した。
呼び出しだ……。