【完】君の笑顔
「えーっ、食べなきゃ死んじゃうー」
……。
食べなくても死なないって。
あの時ちゃんと忠告したのに。
そう将来の聖に僕は言うだろうね。
このままだと、聖の将来は糖尿病かも。
本当に自分の体を大事にしてほしい。そう僕が密かに思っているなんて知らない聖。
「ねー」
呑気に話す。
「何」
「秋の担当の子、最近どう?」
また抜け出されてんの?、と付け加えられる。
前に岡本さんが病院を抜け出して僕が迎えに行った時
偶然連れ戻そうとしている僕を見かけたらしい。
必死に連れ戻そうとしている姿が、別れるのを必死で拒む彼氏みたいで聖は遠くから見物しながら笑っていたと。
それを聞いて、ムカついてしばらく聖と喋らなかったんだ。
「別に普通。抜け出すのも、最近は良く阻止出来てるし」
「必死で阻止してんだろうな」