【完】君の笑顔
想像したんだろうな。
聖の唇が弧を描く。
「必死にもなるよ。もし抜け出されて外で発作起こされたら……」
僕が今一番恐れている事。
そうならない為にも必死で止めなきゃいけないんだ。
「あのちょっと気が強そうな子だろ?
可愛かったけど……秋の言う事全く聞いて無かったよね?お前我が儘言われてんじゃねーのー?」
さすが、遠くから観察していただけある。
岡本さんの事、聖には何も言ってないのに岡本さんの性格を見抜いてる。
聖の観察力は凄い。
「まぁ……言う事は聞いてくれないけど。
それでもどうにか病気治して貰わないと」
治してみせるって思ってるから。
初めて岡本さんの事を知った時から。
「大変ですねーお医者さんは!
あ、でもいっか。
あの子可愛いし。秋好きになっちゃったりしないのー?」
真剣考えていたら、能天気な聖の声が耳に入ってくる。
……ムカつく。
「何馬鹿な事言ってんの?
大体岡本さんといくつ離れてると思ってるんだよ」
何も分かってなくて色恋沙汰へと持っていこうとする聖を睨みながらクッションを投げつける。
岡本さんの命が掛かってるんだ。
好きとかそんな事言っている暇も、思っている暇も無い。